「AIに何を頼めばいいか分からない」を30分で言葉にする方法
「AIを使ったほうがいいのは分かっている。でも、何を頼めばいいのかが分からない」。よく聞く悩みです。同じところで止まっている人は多いのですが、これは知識の量とは別の問題です。
「AIに何を頼めばいいか分からない」のは、知識不足ではありません
多くの方が「自分はAIに詳しくないから頼めない」と考えます。けれど、止まっている原因はたいてい別のところにあります。足りないのはAIの知識ではなく、自分の仕事が言葉になっていない状態、つまり「業務の言語化」が済んでいないことです。
料理にたとえると分かりやすくなります。包丁の使い方を覚えても、今夜つくる料理が決まっていなければ手は止まります。AIも同じで、道具の説明書をいくら読んでも、「何を任せたいか」が決まっていなければ使いどころが見つかりません。
ここで大事なのは、言語化は特別な才能ではなく、手順だということです。毎日やっている仕事を、外の人に伝わる形に書き出すだけ。順番さえ決めておけば、30分あれば下書きはできます。
AI活用の出発点は、業務棚卸しの3つの質問
個人事業主や小さな会社のAI活用は、ツール選びからではなく業務の棚卸しから始めると迷いません。棚卸しといっても難しいことはせず、次の3つの質問に答えるだけで足ります。
質問1 毎週、時間を食っている仕事はどれですか
「大変な仕事」ではなく「時間が長い仕事」を探すのがコツです。しんどさは記憶に残りますが、時間は数字で比べられます。月曜の朝に1時間かかっている在庫の数え直し、金曜の夕方に2時間かかっている日報のまとめ。そんなふうに、曜日と時間をセットで書き出してみてください。
週に1時間の仕事は、1年で50時間ほどになります。この数字が、あとで「お金をかける価値があるか」を判断する材料になります。
たとえばご自身の時間を1時間3,000円と置けば、年50時間はおよそ15万円分です。ここまで数字にしておくと、「3万円で済む工夫なら試す」「50万円かかるなら見送る」といった判断ができるようになります。
質問2 同じ手順を繰り返している仕事はどれですか
毎回、同じ順番でやっていることは何か。請求書を1件ずつ作る、予約を台帳に書き写す、写真の名前を付け替える。こうした仕事は、AIや仕組みが比較的得意な領域です。
逆に、相手やその日の状況で判断が変わる仕事は苦手です。「毎回ちがう」と感じる仕事は、いったん後回しにして構いません。
ただし、1つの仕事をまるごと見ないでください。お客様の様子を見て提案を変える接客は毎回ちがいますが、その提案をメールで送る作業は毎回同じ手順です。同じ仕事の中から、繰り返しの部分だけを切り出せることは少なくありません。
質問3 人に説明できる仕事はどれですか
新しく入った人に、口頭で最後まで説明できるかどうか。説明できるということは、手順がすでに言葉になっているということです。説明できない仕事は、まだご自身の頭の中にある状態で、AIにも同じように伝わりません。
3つの質問すべてに当てはまった仕事があれば、そこが最初の一歩です。時間が長く、手順が決まっていて、説明できる。この3つが重なる仕事から手をつけると、成果が見えやすくなります。
悩みを「頼みごと」に変える4つの例
同じ内容でも、悩みのままでは相談相手が動けません。頼みごとの形に変えると、見積もりも手順も出せるようになります。
| いまの悩み(そのままの言葉) | 頼みごとに変えたもの |
|---|---|
| 請求書づくりに、毎月半日かかる | 入力すれば自動で発行される仕組みの設計図 |
| 予約の電話対応に追われている | LINEで24時間受け付ける流れの要件書 |
| ChatGPTに何を打てばいいか分からない | 自社の業務専用の「頼み方テンプレ」 |
| 業者に相談したいが、何を伝えればいいか分からない | そのまま見積もりが取れる要件定義書 |
気をつけたいのは、手段から書き始めないことです。「AIで何とかしたい」と書くと、そこから先が広がりません。「毎月5日の請求書発行を、入力1回で終わらせたい」のように、いつ・何が・どうなるかを書けば、使う手段は後から選べます。
右側の言葉は、専門用語ではありません。「誰が、いつ、何をして、どうなるか」を具体的にしただけです。左から右への書き換えでやっていることは3つ。数字を足す(毎月半日)、場面を足す(電話・LINE)、ほしい結果を足す(自動で発行される)。この3点を意識すると、悩みは自然と頼みごとに近づきます。
30分でできる、セルフ棚卸しチェックリスト
紙とペン、またはメモアプリだけで始められます。時間を区切るのがコツなので、タイマーを30分にセットしてください。
【0〜10分】仕事を書き出す □ 先週やった仕事を、思い出せるだけ書く(10〜15個を目安に) □ それぞれに、かかった時間の見当を書く(15分/1時間/半日) □ 「毎週やっている」ものに丸をつける 【10〜20分】絞り込む □ 丸がついたものから、自分の手でしかできない作業(施術・調理・現場作業など)を外す □ 残ったものを、時間が長い順に並べ替える □ 上から3つに、①手順が決まっているか ②人に説明できるか を○△×で書く □ ①②とも○のものから、いちばん時間が長いものを1つ選ぶ(両方○が無ければ、片方だけ○のものから) □ ○が一つも無いときは、△の中でいちばん時間が長いものを選び、 手順が決まっている部分だけを切り出す(質問2の要領) 【20〜30分】頼みごとの形にする □ 選んだ仕事の手順を、番号付きで書く(5〜8ステップ) □ そのうち「人でなくてもよさそう」なステップに印をつける □ 印のところがどうなれば嬉しいかを、1文で書く □ その仕事に1年で使っている時間を計算する(週の時間 × 50週)
この「どうなれば嬉しいか」の1文が、そのまま相談の入口になります。「毎週金曜の日報まとめ2時間のうち、集計の部分を自動にしたい」。この一文があるだけで、話の進み方が変わります。
書き出したあと、どこへ持っていくか
書き出したメモは、3つの使い道があります。1つめは、自分でAIに頼むための材料にすること。手順が書けていれば、ChatGPTへの頼み方テンプレにそのまま流し込めます。
2つめは、開発会社やフリーランスへの相談材料にすること。準備の仕方は開発会社に相談する前に準備する3つのものにまとめています。3つめは、何もしないと決めること。書き出してみたら年に10時間ほどだった、という結論も立派な判断です。
まとめ
- 「AIに何を頼めばいいか分からない」の原因は、知識不足ではなく業務の言語化が済んでいないことにあります
- 業務棚卸しは、①毎週時間を食う仕事 ②同じ手順を繰り返す仕事 ③人に説明できる仕事、の3つの質問から始めます
- 3つが重なる仕事が、最初に手をつける候補になりやすいです
- 悩みを頼みごとに変えるコツは、数字・場面・ほしい結果の3つを足すことです
- 30分のセルフ棚卸しで、相談に持っていける一文までは作れます
relay2aiは、AIが苦手な経営者・個人事業主のための「通訳」です。4時間のヒアリングで、やりたいことを要件定義書とワイヤーフレームという伝わる形にします。
書き出してみたけれど、これで合っているか自信がない。そんなときは30分の無料相談でご相談ください。メモがなくても、「請求書づくりを自動にしたい」という一言だけあれば話は始められます。